離婚問題

弁護士が教える!「子どもの監護に関する陳述書」の書き方 パート1

この記事を書いたのは:福島 宏美

Q 妻と離婚調停中です。子どもの親権について争っており、裁判所から「子の監護に関する陳述書」を提出するよう求められました。陳述書に書く項目は裁判所から教えてもらいました。これらの各項目について、どのように記載したらいいですか。

A 離婚調停や離婚裁判で、子どもの親権について争いがある場合、裁判所から、「子の監護に関する陳述書」の提出を求められる場合があります。

「子の監護に関する陳述書」は、子どもの親権者をどちらに指定するのが適切かを判断する参考資料として、父と母それぞれに、生活状況やお子さんの状況、今後の監護の計画などについて詳しい内容を書いてもらいます。

Q 「あなたの生活状況」の「生活歴」については、何を書いたらいいですか。

A まず、生活歴には、学歴や職歴、婚姻や離婚歴についてなど、これまでの人生の主要な出来事をお書きください。

特に、ご夫婦の婚姻の時期、お子様が生まれた年月日、別居の時期、などを詳しく書くと、これまでの経緯がわかりやすくなりますので、裁判所に、これまでのご家庭のイメージをもってもらいやすくなります。

例)平成〇年〇月〇日婚姻

  平成〇年〇月〇日長男・〇〇 出生

  平成〇年〇月〇日長女・〇〇 出生 など

Q 「生活歴」に記載するに当たり、書くと不利益になることはありますか。

A 学歴や職歴などの生活歴が、直ちにお子様の監護に支障が生じる事情につながるわけではありません。

例えば、現在、無職である場合に、その後の生計の立て方について、裁判所から詳しく聞かれる場合があります。生計の立て方が不明確ですと、子どもさんの監護の仕方についても不明確になってしまうこともありますので、今後の監護計画の項目と合わせて、詳しく説明する必要があるでしょう。

Q 「現在の職業の状況」についてはどのようなことを書けばいいですか。

A 現在の勤務先、業務内容、職務の内容、勤務時間や残業の有無、休日についてお書きください。特に、勤務時間や残業の有無、休日については、お子さんとのかかわり方や監護体制との関係で重要な項目となりますので、詳しく書いた方がいいでしょう。

例)現在の勤務先:株式会社○○

  勤務形態:正社員 休日:土日祝 

  勤務時間:午前9時から午後5時(残業    あり)

  入社時期:平成〇年〇月から(現在入社●年目)

  年収・月給:年収○○○万円 賞与あり

        月収総額〇〇万円(手取り○○万円)

        ※源泉徴収票・給料明細提出

  

Q 「経済状況」についてはどのようなことを書けばいいですか。

A 主な収入の金額と、おおまかな支出の状況をお書きください。

  例)収入 給与 手取り○○万円

    支出 家賃 〇万円、光熱費 〇〇〇〇円、食費・日用品 〇万円など

Q 金融機関からの借入れがあると、親権の判断に不利益がありますか。

A 単に借入れがあるからといっても、そのことから直ちに、親権の判断に不利益となるわけではありません。収入から借金返済も含めた支出状況から、子どもさんの監護養育に支障が生じ得る事情があれば、親権の判断において考慮されることもあります。

Q 「健康状態」はどんなことを書いたらいいですか。

A 現在の心身の状況や、既往歴をお書きください。

Q うつ病と診断されていることから、親権の判断において不利益に考慮されますか。

A うつ病との診断があるからといって、直ちに親権の判断において不利益に考慮されるわけではありません。ただし、病気の症状によっては、子どもさんの監護が難しくなる場合には、親権の判断において考慮されることもあるでしょう。

Q 「同居者とその状況」は、どんなことを書いたらいいですか。

A 現在一緒に生活されている方のお名前と関係、年齢などをお書きください。その方が子どもさんの監護のお手伝いをする方(又はその予定の方)であれば、別項目の監護補助者についての項目で詳しく書くことになります。

  例)同居者1 〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生、〇歳)続柄:長男

         現在:○○小学校〇年生

    同居者2 ○○○○(平成〇年〇月〇日生、〇歳)続柄:長女

         現在:〇〇保育園

Q 「住居の状況」は、どんなことを書いたらいいですか。

A 現在のお住まいの住居の間取り、利用状況や近隣の環境をお書きください。お子さんが暮らせるスペースがあるかどうかを把握するために間取りに、お子さまが生活されている場所や、今後生活する予定の場所を記載しておくと、イメージしやすいでしょう。

 詳しい記載方法や親権のご相談については、弁護士にご相談ください。


この記事を書いたのは:
福島 宏美