違法な転勤命令への争い方
この記事を書いたのは:福島 宏美
(ただしさん)全国に支店のある会社に入社し、マネージャー職として勤務していました。その後、勤務実績が評価され、昇給しました。しかし、数年後、新しく赴任してきた副社長から人員削減を理由とする退職を勧められました。私は、断りましたが、その後、勤務成績の評価が下がり、今回、県外にある別の支店の転勤と、課長職への降格を命じられました。この辞令に応じなければいけませんか。
(弁護士)辞令に応じなかった場合には、業務命令違反として、懲戒処分を出される可能性がありますね。
(ただしさん)黙って従うしかないのでしょうか…
(弁護士)転勤を伴う配転命令が権利濫用として無効ではないかと争う余地はありそうですね。配転が有効に行われるためには、就業規則などの規定により配転命令権が認められ、また、配転に業務上の必要性があり、配転による労働者の被る不利益が「通常甘受すべき程度」を著しく超えていないことが必要です。
(ただしさん)難しい…県外の支店は特に業務上の必要として私が行く必要はなさそうです。特に人員が不足しているという話も聞いていません。私には妻と子がおり、妻もフルタイムで働いています。課長職への降格にもなるので、得られる給料も今より下がります。子は小さく難病のため妻と私が交替で面倒を見ている状態です。
(弁護士)配転命令に、業務上の必要はなく、ただしさんの方の不利益が大きいことを主張して争いましょう。仮に、業務上の必要があるとしても、人事権による降格については、降格する相当な理由もなく賃金が大幅に下がるなど本人の不利益も大きい場合には人事権の濫用となり無効となります。
(ただしさん)私が、県外の支店へ異動させられる配転命令の違法と、現在のマネージャー職から課長職へと職位を下げられる降格処分の違法を争っていくということですね。
(弁護士)ややこしいですがそういうことです。
(ただしさん)だけど、辞令には従わないと、業務命令違反といわれてしまうのですよね…
(弁護士)はい。ですので、不服である意思を表明しつつ一旦辞令は受け入れて、早期に、従前の給与等級の労働契約上の地位を有することの確認と、降格前と後との賃金の差額の支払い、そして、異動先での勤務義務がないことを確認する裁判を起こすことになります。
(ただしさん)わかりました。お願いします。
違法な配転命令、降格処分についてのご相談は、旭合同法律事務所へご相談ください。
この記事を書いたのは:
福島 宏美