離婚問題

面会交流調停ってどんなことするの?

この記事を書いたのは:福島 宏美

(ひなたさん)昨年、離婚しました。子どもの親権者は私です。今日は、子どもと元夫との面会交流について相談します。

(弁護士)わかりました。どんなことにお困りですか。

(ひなたさん)私としては、離婚したとき、元夫からの暴言で散々傷ついていたので、離婚の際には、面会交流について、具体的に約束をしていませんでした。そのため、離婚した半年後に、急に元夫から連絡がきて、「養育費を払っているのだから子どもに会わせないのはおかしい。早く会わせろ。」と言ってきたのです。私は、元夫から連絡が来たことが嫌だったのですが、子どものことを思うと会わせないのもいけないことだと思っていたので、会わせようとしましたが、合わせる日や時間、場所の話し合いがつかない状況です。

(弁護士)そうでしたか。お母さんとしては、お父さんと、どんな約束事をしておきたいですか。

(ひなたさん)私としては、毎回、元夫と、面会交流の日程の調整や、時間、遊びに行く場所とかも話し合うのがとても嫌なんです。

(弁護士)まずは、面会交流を1か月に1回行う、とか2ヵ月に1回行う、という頻度を決めることが必要そうですね。また、原則的に、毎月(か2ヵ月に1回)の第〇土曜日、というように決めておくと、他の用事の調整もしやすくなると思います。あとは、面会交流の時間を予め決めておくとスムーズです。

(ひなたさん)離婚する前ですが、元夫が、子どもを連れて家を出ようとしたことがあって、私が気づいて止めたのでよかったのですが、連れ去りの危険とかも感じていて、あまり自由に会わせたくないのです。それに、子どもも大きくなってきていて、「お父さんと会わなければだめ?」ってときどき泣きながら言う事があって。本心がどうかわかりませんが、どのように話し合えばいいのか、子どもの気持ちも考えて進めることはできますか。

(弁護士)お子さんの気持ちを丁寧に聴きとってあげることが大切ですね。お母さん側の言い分としてお子さんの意思をお父さんに伝えることも大切ですが、お父さんにとって思わしくないお話だとなかなか話し合いが進まないかもしれません。家庭裁判所に面会交流調停を申立てて、そこでお話合いをされるといいでしょう。

(ひなたさん)裁判所で話し合うということですね。

(弁護士)はいそうです。お子さんの意思や意向についても、お母さんから聞き取った内容を調停内で話し合うこともできます。場合によっては、家庭裁判所の調査官が、お子さんにお会いをして、面会交流に関する意思や意向の確認をすることもあります。

(ひなたさん)家庭裁判所の調査官がですか?

(弁護士)はい。家庭裁判所の調査官は、児童心理学など専門的な知見のある専門家です。お子さんと会って、お子さんから公平に話を聴くことができます。

(ひなたさん)調停になると、すぐに調査官が子どものところに話を聴きにくるのですか。

(弁護士)いいえ。調停の中で、どのようなことが争いになっているのか、解決すべき点と、調査官によって何を調査すれば解決できるのかを整理した上で、調査を実施していくことになります。

(ひなたさん)私や元夫にも調査官から聞かれることがありますか。

(弁護士)はい。必ずではありませんが、お子さんのお父さん、お母さんとして、お子さんの様子やこれまでの面会交流の実施状況などを聞かれます。お子さんに会う前にまず、お父さんお母さんと面談をして、調査官がお子さんと接する前に注意しておいた方が良いこと等を検討することもあります。

(ひなたさん)うまくこたえられるか、不安です・・

(弁護士)テストや試験ではないので、模範解答を言わなければならないというものではありません。調査官がお子さんとお会いした時になるべく、お子さんに負担をかけないようにするためでもありますので、なるべくありのままお話し下さい。不安であれば、代理人として弁護士が同行することもできます。

(ひなたさん)これは言わない方がいいということはありますか。

(弁護士)基本的にはありませんが、調査官の質問に応えようとしなかったり、終始相手方への悪口だけに留まるなど、調査官の調査の目的に沿わないやりとりは控えた方がいいですね。

(ひなたさん)気付かぬうちに話をそらせてしまうかもしれません。代理人として立ち会ってください。

(弁護士)分かりました。同席しますね。

(ひなたさん)子どもへの聴き取りもすべて終わったら、どうなるのですか。

(弁護士)調査官が調査結果をまとめた報告書を作成し、裁判官に提出します。それを、閲覧謄写して読むことができます。

(ひなたさん)報告書にどんなことが書かれているのですか。

(弁護士)調査官が調査した内容の報告や、調査官としての意見が書かれています。お子さんのお父さんへの気持ちの聴き取りなどから、お父さんとの面会交流の実施についての、調査官の意見が書かれています。それを参考に、裁判所としても、その後の進行を決めますので、とても重要な報告書になります。

(ひなたさん)公平に聞き取った内容であれば、私もその意見に応じたいと思います。

(弁護士)調査報告書の内容を踏まえて、裁判所から双方に譲歩案などを提案し、双方に検討させるケースがあります。

(ひなたさん)子どもの意見を尊重している案であれば、応じてもいいですけど・・

(弁護士)その後の見通しなども踏まえて検討して頂ければと思います。

(ひなたさん)わかりました。もし、応じられないとすると、どうなりますか。

(弁護士)両当事者で合意ができない場合には、調停不成立となり、審判といって、裁判所が判断することになります。

(ひなたさん)裁判所の判断に応じられなければどうしたらいいですか。

(弁護士)即時抗告ができますので、高等裁判所で再度判断してもらうことになります。

(ひなたさん)結構長引きますね。

(弁護士)そうですね。なるべく、お子さんに負担をかけないことが大切なので、お子さんの状況やお気持ちを尊重しながら、様々考えていくことがとても大切です。

(ひなたさん)そうですね。難しいですが、先生と一緒であれば、頑張りたいと思います。調停お願いします。

ひなたさんのように、面会交流の調停を申し立てる際には代理人として申立を行ったり、裁判所とのやりとりを行いますので、一度、旭合同法律事務所の弁護士へご相談ください。


この記事を書いたのは:
福島 宏美