財産管理

高齢者のひとりぐらしお任せください

この記事を書いたのは:福島 宏美

(近所の太郎さん) 近くに、おひとりで暮らされている梅おばあちゃんがいます。今後、高齢になりなかなか一人で生活がしづらくなってくると思います。そうしたときに備えて、どのような準備をしておいたらいいですか。

(弁護士)まず、現在の生活の状況を把握することが大切ですね。収入はどこからどのくらいもらえているのか、支出は何にどのくらいかかっているのかを把握するところから始めましょう。

(近所の太郎さん)梅おばあちゃんは、確か、年金収入と、賃貸アパートを経営しているのでその賃料収入があるみたいです。支出は、持ち家の固定資産税とか、あとは、食費とか光熱費とかがかかっているようです。特に生活費が足りないといった事情はなさそうです。

(弁護士)なるほど。今または今後、どんなところで大変になってくると思われますか。

(近所の太郎さん)そうですね、賃貸アパート経営については、管理会社に委託しているようなのですが、細かい修繕や賃借人との契約などについては、なかなか一人で判断していくのは難しくなってくると思います。

(弁護士)そうですね。その場合、財産管理契約という契約を、弁護士との間で結んでおくと、梅おばあちゃんの代理人として弁護士に、管理会社とのやりとりや賃借人とのやりとりを任せることができます。また、所得の関係でも必要な書類を管理しておくことも任せられるので、確定申告のための必要書類の管理も安心です。

(近所の太郎さん)そうですか。ほかに、何か支援してもらえることはありますか。

(弁護士)ほかに、介護保険を使える状態ですと、介護関係の支援を得られることができます。また、各自治体で実施している、日常生活自立支援事業として、日々の生活のサポートをしてくれる制度もあります。

(近所の太郎さん)支援を受けられるかについては、どこに相談すればいいですか。

(弁護士)まずは、お住まいの自治体の高齢者の福祉課や、権利擁護支援センター、地域包括支援センターにご相談ください。

(近所の太郎さん)わかりました。ほかに、今のうちしておいた方が良いことはありますか。

(弁護士)先ほどご案内した、財産管理契約は、梅おばあちゃんの判断能力が一般の方と同程度にある場合に有効です。今後、認知症などで判断能力が低下していく場合に備えて、財産管理に関する契約を弁護士と結んでおくと安心です。

(近所の太郎さん)なるほど、財産管理契約とは別に契約をしておく必要があるのですね。

(弁護士)はい。任意後見契約といって、判断能力が低下した場合に備えて事前に契約をしておくものです。この契約は、公正証書にしておく必要があります。

(近所の太郎さん)わかりました。ちなみに、梅おばあちゃんが病院に入院しなければならなくなったときに、親族で身元保証人になってくれそうな人はいなさそうです。どうしたらいいですか。

(弁護士)業者に依頼することもできますので、お近くの地域包括支援センター等で相談してみてください。業者の料金体系などをよく聞いて、依頼してもいいか決めましょう。

(近所の太郎さん)わかりました。あと、梅おばあちゃんが亡くなったときに備えて、葬儀のこととかも今のうちに決めておきたいし、いざというときに誰にやってもらえるのかを決めておきたいそうですが、何かいい方法がありますか。

(弁護士)死後事務委任契約といって、亡くなった後の事務的な手続を弁護士に依頼しておく契約をしておくといいでしょう。あと、業者にも依頼しておくことができますので、適宜、依頼したい内容に応じてどこに委託するのがいいか、料金もよく確認して、決めましょう。

(近所の太郎さん)そのほかには、何かありますか。

(弁護士)財産がいくつかおありのようですので、亡くなられた後の処分の仕方や財産の帰属先について、遺言を書いておくといいでしょう。弁護士に遺言の作成の手伝いを依頼して頂くと、弁護士が、必要なアドバイスをし、公証役場とやりとりをして、公正証書遺言の作成までの段取りを行います。遺言の中に遺言執行者として弁護士を指定しておくこともできますので、その場合は、亡くなった後に、弁護士が遺言執行者として、梅おばあちゃんの財産の処分等を行ってくれます。

(近所の太郎さん)なかなかたくさんやることがありますね。まずは、①財産管理契約、そのあとに備えて②任意後見契約、それから、③死後事務委任契約と遺言、を弁護士さんに依頼しておくと安心のようですね。

(弁護士)そうですね。色々ありますが、まずは、旭合同法律事務所にご相談ください。締結しておいた方が良い必要な契約などをアドバイスいたします。


この記事を書いたのは:
福島 宏美