相続・遺言

自筆証書遺言の作り方と保管制度の流れ

この記事を書いたのは:福島 宏美

遺言を作りたいけど、できるだけ費用を抑えたい場合、自筆証書遺言を作成されることをおすすめします。

ご自身で作成できるので、公正証書遺言に比べて作成にかかる費用を安く抑えられます。

①遺産となりうる財産の確認をしましょう。

 

 まず、遺産となりそうな財産にはどのようなものがありますか。不動産、預貯金、保険、株式、自動車、などがあれば、それらの財産を特定できる書類を用意します。

 不動産…全部事項証明書

 預貯金…通帳

 保険…保険証券

 株式…株式の内容が分かる書類

 自動車…車検証

②財産の帰属先を決めましょう。

 遺産となりうる財産を確認したら、次は、誰に、どの財産を渡すか、決めましょう。法人に寄付(遺贈)する場合には法人の登記番号なども調べておきましょう。

③遺留分の侵害がないかなど確認しましょう。

 事後的な紛争を防止するため、遺留分の侵害などが発生しないか弁護士に相談しましょう。また、自筆証書遺言の内容で心配な点などがありましたら、弁護士に相談しましょう。

④自筆証書遺言の文案を作成しましょう。

 ある程度の遺言の内容が整理できたら、自筆証書遺言の文案を作成しましょう。内容については弁護士に相談して決めることもできます。また、自筆証書遺言の中であらかじめ遺言執行者を決めておくと、遺言の内容を実現することがスムーズにできます。この場合の内容等については弁護士に相談してください。弁護士が文案を作成することも可能です(要費用)。

⑤自筆証書遺言を作りましょう。

 それでは文案に従って自筆証書遺言を作りましょう。

 用紙はA4サイズを用意します。片面のみに記入しましょう。

 遺言書は、縦書きでも横書きでも大丈夫ですが、法務局の保管制度を利用する場合、余白についての決まりがあるので、それに従って作成してください。遺言部分はすべて手書きで書きましょう。作成日も年月日を正確に記載しましょう。余白は上側5ミリメートル、下側20ミリメートル、左側20ミリメートル、右側5ミリメートルを確保し、余白部分には何も記入しないようにしましょう。

 財産目録はワードで作成することも可能ですし、通帳や全部事項証明書のコピーに代えることもできます。いずれにしても、各ページに署名と捺印が必要です。財産目録の余白も遺言と一緒です。

 遺言と財産目録ができあがったら、財産目録を含めた遺言書全体の枚数のうち何枚目かわかるようにページ数を記入しましょう。「該当ページ番号/総ページ数」を記載します。例)総ページ2ページある場合には、1枚目は、「1/2」、2枚目は「2/2」となります。

 できあがったら、一式コピーを取っておきましょう。保管制度を利用する場合、原本は、法務局に預けるため、手元に写しがあると安心です。

⑥法務局で保管制度手続の予約を入れましょう。

 住所地や本籍地にある法務局にて保管手続の実施日の予約を入れましょう。

 ご所有の不動産の所在地にある法務局でも受け付けてもらえます。

⑦申請書を作成しましょう。

 法務省のHPにて申請書の書式がありますので、それを利用して申請書を作成しましょう。

⑧住民票の写しを用意しましょう。

 本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写しを用意します。

⑨印紙を用意しましょう。

 保管制度の手数料として1件3900円の印紙が必要となりますので、用意しましょう。

⑩身分証明書を用意しましょう。

 顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証等)を用意しましょう。有効期限内であることを確認しましょう。

⑪予約日に、遺言書、その他必要書類(上記⑦~⑩までの書類等)を持って法務局へ行きましょう。念のため、印鑑も持っておきましょう。

⑫法務局へ行き、保管手続を行いましょう。

 訂正や内容の確認が必要な場合がありますので、時間に余裕をもっていきましょう。

⑬保管証を受け取りましょう。受け取った保管証はお手元で大切に保管しておきましょう。

以上が流れになります。その他、亡くなったときの流れや心配事などがありましたら、旭合同法律事務所豊橋事務所にご相談ください。

 


この記事を書いたのは:
福島 宏美